商業探偵の崩壊・これからの探偵事務所のあり方について
先日、大手探偵事務所が破産したという事を書きました。
前々から感じていたことなのですが、日本国内にある「探偵」が増えすぎた結果なのではないかと思います。私が探偵業に関わりを持つようになって27年が経過いたしました。初めの頃はよくわからずに先輩らと調査現場に向っていました。
暫くして業界の話を見聞きするようになります。自分がこの業界に入った頃はインターネットなどはありませんでしたから、一般の方や企業の方が調査をお願いするといった場合、選択肢は限られていました。
弁護士からの紹介
電話帳を見て広告等で自分で判断
以前、依頼した事のある人からの紹介
ポスター、掲示板(ネットのではない)、看板などを見て
これくらいしか考えられないのですが、、、。私の探偵事務所は、ほぼ人からの紹介です。web siteはありますが、そこからの依頼は年間を通してゼロに近いですし、検索しても上位にヒットすることはないでしょう。本当は上位表示するようにしたいのですが、コストと見合う結果が得られなければ意味がないと思いますし、結果とは調査の受件(依頼を受けること)ですから、検索順位で上位表示されたからといって、それが結果だとは言いがたいのです。私の知り合いの探偵事務所はそういった検索順位を上げることに時間とお金を割いていますが、検索順位が大幅に変わったりしして苦労していると聞きます。
本来、探偵事務所というのは大きく看板を出したり、インターネットでアドワーズやリスティング広告を沢山出すような業種ではないんですね。しかし、ネットからの集客で成功をあげている?探偵社もあります。しかしながら、SEO対策にお金をかけすぎてキャッシュが無いという悪い噂も聞きますね。
一度名前が知れ渡ればそれだけで大きな効果を生んでいるはずなのですが、探偵そのものの知名度ってものすごく低いんです。
「本当にそういう職業があるんだ!」
何回か言われたことあります。
そういった知名度の低さによって、広告を打つことにより集客するという流れになっていったのだと思います。電話帳広告全盛の頃は、大きな開場に業者が集まり、クジを引いて広告の場所を確保していました。数ページある広告のうち、前のほうに掲載されているほうが電話がかかってくる確立が高かったのです。
探偵事務所の名称も同じです。「あ・い・う・え・お順」でしたから、「ア」とか「A」とかを名称に付けることで、電話帳の前のほうに掲載されるからです。ですから変な名称の探偵事務所が電話帳に掲載されていた時期もありました。今では電話帳を見て電話をかけてくる率が下がりましたから無くなったかもしれません。
前の記事でも書きましたが、広告にお金をかけすぎて、無くなっていった探偵事務所が数多くあります。中には名前を変えてやっている所もあるのでしょうが、この業界で名称を変えたらそれはそれでデメリットしかないと思いますね。20年前の依頼人が104の番号案内で調べてかけてくることもあります。それが広がって大きな仕事にになる場合もあるんですね。所在地についても連絡もなしに昔の依頼人が来ることもあるんです。
一度、「探偵」で検索してみて下さい。上位数件は広告で埋められていると思います。立ち上げて数年の探偵事務所がお金をかけて掲載されています。その派手な宣伝広告費をかけ続けることができるのか?その原資は?調査費用に上乗せされているとしか考えられません。
-派手な宣伝広告-
これはもう通じないのかもしれません。私どもの業界だけではなく、弁護士や司法書士の広告宣伝もよくみるようになりました。それらは消費者金融で支払い過ぎた金利を取り返すというものです。それも賞味期限が近づいてきます。
大量の宣伝広告を打って、集客するというビジネスモデルは崩壊に近づいているのかもしれません。企業というのは収益の確保が第一ですから、ものすごい研究をしてSEO対策なさっているんだと思います。SEO対策だけならお金をかけなくてもできるのかも知れませんが、広告費は永年かかり続けます。依頼が減ったら宣伝の仕方が悪いのだと感じることでしょう。もっと沢山の広告を出そうとするのかもしれません。探偵事務所がそんなに体力があるとも思えませんし、金融機関がにっこりしながら融資してくれる業界でもありません。やはり世間様は色眼鏡で見ている部分があります。
これからこの業界がどうなって行くのか本当に不安です。