浮気調査で本当に幸せになれるのか?

浮気調査は誰得なのか?

ネット上にあふれる浮気調査の情報は物凄い量があります。

それだけ必要としている方が多いのと、その欲求に応えるメディアや探偵が数多くいるからでしょう。実際に事務所を構えていなくてもネットから問い合わせがあれば仕事になる事も多く、きちんとした報告が出来れば依頼人も特に困ることはありません。

私の探偵歴は33年になりますが、始めたころは浮気調査というのはそれほど多くありませんでした。どちらかというと企業からの依頼でさまざまなトラブルに纏わる調査の方が多かったです。

新規の取引先の会社は大丈夫なところなのか?や、裁判中の相手の動きを探るといった調査が多く、二番目に浮気調査や人探しといった探偵っぽい仕事がありました。

近頃はどこのサイトを見ても浮気調査ばかり。仕事量として浮気調査が多くなるのは金額面から言っても納得のいく戦略なのかもしれません。

ですが、浮気調査というのは人の後をつけて写真を撮るだけで、その他のスキルはあまり必要ないのです。企業の信用調査ができる調査員は数少ないでしょう。

と、話題はだいぶ逸れてしまいましたが、最近感じたのは浮気調査って誰得なの?という点です。

探偵と弁護士だけが儲かるシステムなの?

金銭面で言うと、浮気調査で得をするのは探偵社と弁護士などの士業の方。依頼人はお金を払う側ですので損をするほうになります。損と言っても後に慰謝料などで返ってくることが多いのですが、はたして本当にそうなるのでしょうか。

探偵へ支払う報酬は浮気調査の量によってだいぶ違います。一日しかやらなかったケースや二週間続けて行う場合があります。二週間続けると400万円~とかなり高額になりますから生活に余裕がある依頼人が殆ど。

今は30時間〇〇万円という時間売りの浮気調査が増えてきているので、その中で浮気の証拠を掴めれば御の字ですが、いつ不貞行為をはたらいているのか見当もつかない依頼者がいると、ズルズルと長引いてしまう事もあります。

本当に依頼人の事を思うのであれば、結果が得られるまで定額の方が安心ですよね。いつ証拠を得られるのか分からないのにやればやるだけお金が飛んでいく今のシステムは消費者である依頼者より探偵側に非常に有利になっている気がします。

大金の対価は報告書のみ

車一台分くらいの金額を支払ったのに、依頼人の手に残るのは紙でできた報告書だけです。

それも、時間内でしか仕事をしない探偵社ですと浮気相手の名前も分からないまま、、、という報告もあるそうです。一般人で警戒もしていないのに調査員(探偵)を五名使うからと割高な調査費用を支払ったにもかかわらず、粗末な報告内容だったこともあります。

そうなると調査のやり直しが他社に回ってきて、最初の探偵よりも安い値段ですが、再び大金を支払うことになるのです。

最近(令和5年2月)では他社に30時間で180万円の調査費を払った依頼人が他の探偵に依頼し、また100万円近くを払いました。こんな事が実際に起きているのです。

報告書をもとに弁護士に相談

探偵から受け取った報告書をもとに弁護士に相談をするのですが、弁護料もかかってきます。弁護士は着手金と成功報酬というのが一般的だと思うのですが、訴訟に勝っても負けても着手金がかかります。

第三者である法廷で「これは間違いなく不貞行為ですね」という報告書がないと負けます。誰が見ても明らかに浮気なんじゃないの?と考えても、判断するのは全く関係の無い裁判官。

その裁判官が「クロ」と判断するだけの証拠が必要となるので、相手の身元まで分かっていなければならないのが浮気調査の報告書の完成形といえるでしょう。

昨今の時間内でしか仕事をしない探偵では身元は別料金になる可能性が高いのです。

不貞の証拠を得てもみんな傷つく

不貞の証拠を得ることにより、生々しい浮気中の報告書を読むことで依頼人は傷つき、怒り、落胆します。

浮気がバレてしまった配偶者も傷つき、驚き、怒るでしょう。浮気相手の人物は驚き、落胆し、怖くなると思います。

誰もハッピーになっていないのです。

依頼者は証拠を得るために探偵に莫大ともいえる報酬を払い、ハッピーになっていない。こんな消費活動が他にあるでしょうか?更に弁護士費用もかかるのです。

ハッピーなのは探偵社と弁護士さんだけ。

今までの経験からいうと、確かに依頼してよかった、、、と言われるのですが、その後がどうなったのか?までは依頼者は報告してくれないので、その後の生活がどうなったのかまでは探偵には分かりません。

例えば不貞行為が裁判所で認められ、浮気相手に損害賠償請求を起こし、ネットで書かれているような200から300万円(※正確な情報ではない可能性があります)の請求をするでしょうが、相手が支払わなかったら1円にもなりません。

請求自体は裁判で勝っているので相手方に通知が行きますが、そこまでで、支払うか支払わないかは相手次第なのです。

それに旦那さんの浮気の場合、相手方へ請求した損害賠償金は旦那さんが工面して払っているのではないか?とも思えるのです。そうなると、浮気調査費用と弁護士費用が奥様側から、賠償金は旦那様から、、、となってしまい、家計からお金が消えていくだけの話になっているケースもあると思います。

無い人からは取れない

お金の無い人からは取れません。これが現実です。

いくら裁判で勝ちを得たとしても相手方に支払い意志が無ければ駄目です。そんな馬鹿な!と思われるでしょうが、それが民事なのです。

賠償金が取れない場合は銀行などの預貯金を調べる、勤務先から支払われている給与を差し押さえる、不動産がないか調べるといったことが思い浮かびますがそれにも時間と労力が必要になるのです。

浮気調査後の夫婦関係は?

浮気調査を行い、配偶者に反省を促してその後関係が良好になるといった話はあまり聞きません。

離婚を前提とした浮気調査の場合は婚費分担、財産分与の件で揉めるでしょう。お子様がいらっしゃる場合は親権で揉めますし、実際に”実施誘拐”として近年話題に上がりますよね。

私もお子様の親権に係る調査をしたことがあるのですが、もうそうなると家族の絆とか関係なくなりますし、親のエゴ丸出しの状態になります。それは相手の弱みを調べることになるからです。

人が揉める原因の一つがお金です。その執念は凄まじいものがあります。そんな状態で後の関係が良くなるとは思えません。お金のトラブルというのは家族の絆というのは関係ないのです。

調査後に依頼人からお酒の席に誘われたことが一度だけあります。その依頼人は夫婦関係が良い方向に進んでいると話をしてくれました。

ですが、ほんの一握りなのかもしれません。

離婚すると状況は急変します

まず、どこに住むのか考えなければなりません。お子様がいる場合、転校させるのはかわいそうだからと同じ地域で探すこともあるでしょう。

もともと職業を持っている人は仕事に困らないかもしれません。共有名義でマイホームを買った人は本当に困りますし、ローン残高が多い場合はそのまま住み続けるのか、いったん売却するのかといった問題が残ります。

お子様が小さい場合は養育費が貰えますがそれで生活していけるかどうか、、、無理ですよね。働きに出ながらお子様の事も考えなければなりません。相手方がきちんと面倒を見てくれる人ならいいでしょう。でも離婚の原因が貴方だったら、、、

そこまで用意周到に考えて依頼してくる人は少ないと思います。ですから結末がどっちに転んでもいいように考えておかなければなりません。

安易に依頼してない?

以前よりは浮気調査を依頼するハードルが低くなってきているのかもしれません。人を調べるなんて、、、という良心の呵責が薄くなってきているように思えますし、浮気する人が多くなっているのかもしれません。

配偶者が浮気しているのかしていないのか?を探偵事務所に依頼するという事は人生の一大事なんです。決して安くない調査費用を工面して人の弱みを握る。それが浮気調査なんですよ。

探偵に依頼することなんて人生に一度あるかないか?ですよね。何度も依頼してくる人も中にはいますが、、、

とにかくお金がかかりますのでインターネットで見つけるよりも、友人、知人の紹介や知り合いが探偵だったとかなるべくネットの情報に頼らないのが良いと思います。

明確な目的を持って依頼をする

悩みに悩んで依頼をする。というのが多いパターンですが、本来は明確な目的をもって依頼するべきです。

調査結果を何に使うのか、ただ現実を知りたいという人もいますし、あれから数年たったけど、まだ関係が続いているのか知りたいというのもあります。

上記は裕福なご家庭からのご依頼でした。

最近は金目の物を売ってまで探偵費用をねん出する人もいるようです。しかし、それが依頼者の幸福に繋がらないというのはいささか疑問なんですよね。

探偵をやっていてそう思うのです。